キャンピングカーでアンテナアース(RFグランド)をとる

FRP製のキャンピングカーでボディアースをどうするか

モービルアンテナを使ってHF帯で交信するには、言わずもがなですがアースを適切にとる必要があります。

アンテナの取扱説明書には、クルマのボディの金属部分とアンテナをしっかり導通させ、アースを確保するようにと書いてあるわけですが、我が家の場合、これが非常に問題でした。

無線機を積む我が家のキャンピングカーはFRPでできていて電気を通しません。むしろFRPは電波を透過させる素材として有名なぐらいです。

どのようにして、FRPキャンピングカーで良好なアースを確保するか。私には詳しい専門知識がありませんで、ウェブでひたすら情報収集しました。

カウンターポイズを張り巡らすのは安全性・保守性に疑問

具体的な手法としては、アパマンハムの方が様々工夫されているように、電線コードを何本も張りめぐらたカウンターポイズを製作する方法がまず思い浮かびます。

しかし、キャンピングカーの屋根の上に大量の電線を巡らせるのは非常に手間です。また、走行時の安全性確保や保守管理も大変そうです。

そこで、私がとった方法は、金属テープを使ったアンテナアース(RFグランド)の製作です。

銅テープ・アルミテープでアース作成

つまり、導通性(導電性)のある銅テープやアルミテープをキャンピングカーの屋根に貼り、アースとして作用させようというもの。FRPの屋根を電気を通し電波が受かる金属面に変えてしまおうという作戦です。

屋根の上にアルミテープを貼りまくり。右側端に倒れているのがアンテナ(暗く汚い画像ですみません)

ヒントは第一電波工業(ダイヤモンド)の記載

なお、私がこの方法を思い立つには、第一電波工業(ダイヤモンド)のこちらのページが非常に参考になりました。キモの部分を引用すると以下のとおりです。

広い導体の板の上に垂直にエレメントを立てれば導体板が等電位面として働くわけです。 接地型アンテナにおいて「アース」と呼んでいるものの実態はこの「等電位面」なのです。つまり必ずしも大地表面でなくても、あるいは大地に接続されていなくても等電位面が形成されれば良いのです。

上から見るとみっともないけど、キャンピングカーなら大丈夫

幸い、3m近い高さのキャンピングカーの屋根は人目に付くこともなく、アルミテープを貼りまくっても目立ちません。

コードと違い薄いテープなので邪魔になりませんし、保守管理もテープが剥がれかかったり穴が開いたところを新しいテープで貼り直せばすむので楽ちん。

また、走行中にテープ全体が剥がれてしまうことはまずないでしょうから安全です。万一、一部剥がれてもテープの切れ端が飛ぶ程度ですので後続車に迷惑をかける可能性は非常に低いと思われます。

太陽光パネルとも電気的に接続(銅テープにはんだ付けの後、アルミテープを重ね貼り)

実際のアース取り付け

2層構造

具体的なキャンピングカーのアース(RFグランド)の製作ですが、少ない面積でアース効果を上げるため、一部を2層構造にしました。

まず、一層目は、銅版(600×365×0.1mm)をアルミテープで屋根に貼り付けて、太めの配線コードをはんだ付けしました。

二層目は、銅版を耐候・強力タイプのガムテープで覆い、絶縁体とします。

その上の三層目には、両面導通性がある銅テープを適当に貼り巡らした上に、更にアルミテープを一面に貼り、こちらも配線コードをはんだ付けしました。

銅テープ・アルミテープをキャンピングカーの屋根に合わせて貼りつけることで、あたかも一枚の金属版があるかのように作用することを狙っています。

また、銅版とテープの2層構造にすることで静電容量のアップも期待しています。

最下層には銅板を貼りガムテープでカバー、その上からアルミテープを張り詰めています

太陽光パネルやサイドオーニングとも接続

さらに、自分で設置した2枚の太陽光パネルの取付台(アルミL型アングル)とも銅テープ・アルミテープで接続しました。

もちろん、取付台のアルミアングルはアルマイト処理がしてあり、金属テープで接続しただけではテスターを当てても電気は流れません。でも、高周波の世界であれば、一面の金属板としてRFグラウンド効果を出してくれると考えています。

加えて、キャンピングカーの左側面についているサイドオーニングも長さが3m以上あるアルミ材ですので、これとも銅テープや配線コードを使い、接続しました。

ちなみに、基台を取り付けたステンレス製のラダーについてもアンテナとの導通を確認していますので、ラダーもアースの役割を一部担っているものと思います。

以上が、現段階で実施したHFのモービルアンテナを使うためのアース対策です。

サイドオーニングとの接続部分。こちらもアルミテープを重ね貼りします

実際の効果

この状態で7MHz用モービルホイップHF40CLを取り付け実験したところ、SWR値は1.3程度に収まりました。

現状ではキャンピングカーの鉄フレームとは電気的に接続していません。また、ほかにもまだアース対策のアイデアはあるのですが、とりあえずSWR値が最低限の範囲に収まったのでこれで良しとしました。

このアース(RFグランド)で埼玉から大阪・岐阜と交信し電波が飛んだのは確認できました。

しかし、それ以降は交信ができておらず、これで充分なのか現状では検証しきれていません。今後、実証と改良を繰り返していくつもりです。

なお、当方は全くの素人で、このアースはウェブでの聞きかじりを基に製作したものです。
他のクルマで上手くいくかどうか保証できませんし、ご質問があっても理論的な説明はできません。あしからずご了承ください。