ルフトハンザは破綻を選択?日本はマイルはどうなる。陸マイラーは?

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瀕死の航空業界

全世界を覆い先が見えない新型コロナ禍。世界の航空業界が悲鳴をあげている。

昨日の日経の記事は、ヨーロッパの航空業界の厳しい状況を伝えていた。

これによると、ブリティッシュ・エアウェイズは1万2千人の人員削減を行い、事業構造の抜本的な見直しを図るという。

また、ドイツのルフトハンザは”破綻“を一つの選択肢として政府と交渉を進めているようだ。

ルフトハンザは3月以降、政府保証のつなぎ融資などを求めてきた。複数の現地メディアによると、交渉中の公的支援パッケージは総額1兆円規模に上る。独政府は条件として国による一定比率の出資と、経営を監督する監査役の選出を提示しているもようだ。

交渉は28日にもまとまるとみられていたが、政府出資をめぐり紛糾し、結論は持ち越された。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は同日、労組関係者の話として、ルフトハンザが破綻処理による再建を検討していると報じた。破綻処理なら払い戻しが必要なチケット代などの債務から逃れられるとみられる。
出典:日本経済新聞

記事にあるとおり、ルフトハンザが破綻を検討しているのは、一度会社を潰すことでそれまでの債務をチャラにしたいから。

新型コロナウイルスの影響が深刻化・長期化しているうえに、「コロナ後」の需要の見通しも立たない中では、これを機にブヨブヨに弛んだ体を引き締め、強靭でしなやかな経営体質に改善しようと考えるのは当然のことだ。

マイルは安全?

負債といえば、マイレージサービスも航空会社側から見れば負債。ついでにマイルも消滅させれば経営上はプラスのはずだ。

しかし、マイルに関しては顧客へのサービスだから他の債務のように「知りません」とは言えないだろう。

完全に会社がなくなってしまえばマイルも消え去るけど、同じルフトハンザとして再生するなら、これまでの顧客を敵に回すようなことはできない。

と、これまでの自分は感じていた。会社がなくならない限りはマイレージサービスは大丈夫だろうと。

結局は航空会社と政府の判断次第

でも、日経の記事はチケット代の払い戻し費用の負担を逃れるために破綻を検討していると伝えている。

これの意味するところが破綻後の予約の代金は一切返さないということであれば、発行済の航空券をただの紙切れにするということであり、完全に会社がなくなったのと同義のような気がする。

破綻すれば債務を履行しなくても代金を返さなくても良いのであれば、マイルをいったん消滅させる方がよっぽど簡単にできるのではないか。この記事を読んで単純にそう感じた。

また、1兆円を出すほうも国民の目があるから「大変ですね。はいどうぞ」とお金を渡して終わりにはできない。記事では監査役を送り込むと書いてあるが、サーベイランスの名のもと、経営に口を挟んでくることは間違いない。

人件費の圧縮とか不採算路線の切り捨てとか、はたまたマイルを含めた過剰な顧客サービスの見直しなど様々な変化が求めらえるだろう。

この未曾有の危機的状況では、なにが起きても不思議ではない。

会計基準の変更でマイレージサービスが変わるかも

個人的には、そうはいっても日本ではマイルがなくなるということはないと思う。まったく会社が消えてなくならない限りは、日本の航空会社が一方的に帳消しにするとは考えにくい。

しかし、今後は日本のマイレージプログラムも大きく変化するかかもしれない。

その理由はコロナによる需要減だけでなく、2021年4月からの国際財務報告基準(IFRS)の適用、会計基準の変更だ。

マイルはためづらいものに

来年度から会計基準が国際標準となり、マイルは将来、実際に特典航空券等でサービスを提供するまでの負債として扱われる(実際の売り上げのうち付与したマイル分は将来の売り上げとして計上される)ことになる。

これにより、マイレージサービスは「使いやすく貯めにくい」ものになるといわれている。つまり、特定航空券等を取りやすくすることで将来の売り上げを確定し、マイルの付与を絞ることで負債を減らすということ。

自分には難しくてよく分からないが、いずれにしても今後はマイル負債がどれくらいあり、特典がどの程度使われているのかが帳簿上明らかになる訳だから、これまでにみたいに大盤振る舞いはできなくなるのだろう。

陸マイラーも厳しくなる

そして、こうした動きはいわゆる「陸マイラー」活動にも影響が及ぶ。

これまではクレジット会社などの提携企業が販促用にマイルを購入してくれ、航空会社にとっては単に儲かる話だった。しかし、これからは会計上、発行マイルの残高が明らかになり、それに合わせてマイルの消化策を積極的にとらざるを得ない。これは航空会社側にとっては負担になる。

というわけで、将来的には、販促としてのマイルの付与は今よりショボくなり、ソラチカルートが閉鎖されたように錬金術的な手法もどんどん減っていくだろう。

以上、今後のマイレージサービスについての雑感を書いてみた。例のごとく、素人が聞きかじりの情報をもとに勝手に書いているのでその点は悪しからず。

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